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まず、ヘブライズムもヘレニズムも、基本原理において、神と戦うための、対処方法であり、両者は対立するものではない。
実際、歴史を調べてみると、ヘブライズムは、ヘレニズムを利用し、そこから豊かな養分を吸収することにより、自己を成長・発展させたことがわかる。
もっとも、ユダヤ人の立場に立てば、マカベア時代に被った悲惨な体験から、ヘレニズムを敵視する気持ちは、わからぬ訳ではない。
しかし、タルムードの基礎である「ミシュナー」の醸成開始時期は、紀元前200年頃であり、この時期は、ユダヤ民族に、ヘレニズムの影響が本格的に浸透し始めた時期と、ぴったり一致する。
これは、偶然の一致なのではなく、実に、ユダヤ文化の精髄たる「ミシュナー」、ひいては「タルムード」の誕生そのものに、ヘレニズム(合理的科学主義)が寄与していたのである。(全面的ではないが。)

ユダヤ人は、自分達の律法の伝統に、ヘレニズムの方法を適用する事によって、律法を再構成し、「ミシュナー」を誕生させたのである。
つまり、ヘブライズムは、ヘレニズムの影響により発展したのである。

これと全く同じ事は、約1200年後の、マイモ二デスの仕事にも当て嵌まる。彼は、表面的にはユダヤ教徒であったが、アリストテレス哲学に強く惹かれ、本質的には、ヘレニズムの信奉者であった。
彼は、「ミシュナー」や「ゲマラ」を、アリストテレス哲学(当時の学問の最先端)によって、批判的に再構成しようと試みた。

しかし、彼の目標は壮大であったが、その仕事を、最後まで徹底して推し進める事はできず、中途半端な形で終わっている。
なぜならば、その仕事を貫徹すれば、ユダヤ教そのものを、否定せざるを得ないからである。


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